第29章 贈り物を選ぶ

菅野真理ははっきりと感じ取った。自分の下にいる男の身体が、たった今、ぴたりと硬直したことを。唇のすぐ下で喉仏が、ごくりと重く上下し、呼吸がいきなり荒くなる。

慌てて顔を上げると、石橋結翔の底なしに深い眼にぶつかった。

いま、サングラスの奥の視線は、侵すような鋭さを隠そうともしない。

「わ、わざとじゃないの……」

菅野真理は頬を赤くして、小さく言い訳した。

「ちょっと足が滑っただけで……」

石橋結翔が彼女の腰に回していた手に、ぎゅっと力が入る。痛みに眉がかすかに寄るほどの強さ。

低い声は押し殺したように掠れていた。

「真理。火遊びはやめろ」

サングラス越しでも、その危うさに焼...

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