第49章 一つ一つ勘定する

「手伝ってほしい、ですって?」

真理は顔を上げて彼女を見た。瞳は氷のように冷たい。

「菅野さん。私はもう結婚して家庭もあります。子ども扱いはやめてください」

一歩、前へ。声は淡々としているのに、逃げ道を塞ぐ圧があった。

「それに――私の記憶が間違っていなければ、母のヤ・レジデンスマンションは、今は“あなたの甥”名義で登記されていますよね? シーサイド・ヴィラは、去年、菅野彩乃が三か月“借りた”まま、鍵も返していない。宝飾品は、あなたと菅野彩乃のドレッサーの上で何度も見ました。……それから、絵画は」

真理はそこで言葉を切り、視線をリビングの壁へ滑らせた。

そこに掛けられているのは、...

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