第55章 主権を誓う

彼が今日、会社に行っていると知って、真理は運転手に言って進路を変えさせた。向かう先は石橋グループ本社。

――会いたかった。

石橋グループビルに着くと、受付は彼女の姿を認めるなり、背筋を正して恭しく案内した。社長専用エレベーターで最上階へ。

扉が開き、真理が一歩踏み出した瞬間だった。社長室のほうから松下が足早に来る。書類を抱え、眉間にわずかな皺。

「奥様……?」

松下は驚いたものの、すぐにいつもの仕事の顔へ戻った。「お越しくださったんですね」

「結翔、忙しいの?」

真理の視線が、固く閉じられたオフィスのドアへ流れる。

松下は声を落とした。言いづらそうな間が混じる。

「成田さん...

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