第70章 無邪気すぎる子

「手伝おうか?」と石橋結翔が尋ねた。

真理は人差し指をそっと唇に当てる。

「あなたは、何も知らないふりをしていればいいの」

そう言って、いたずらっぽく片目をつぶった。

石橋結翔は小さく笑い、視線を報告書へ戻す。

「じゃあ、今日は君が来なかったことにしておく」

真理のことは心配していない。口も立つし、やり方も心得ている。誰かが泣きを見ることはあっても、真理が泣かされることはないだろう。

万が一、小西家で嫌な思いをしたとしても――その時は、あとできっちり落とし前をつけてやるだけだ。

……

クリスタルのシャンデリアが傾けた金色の欠片が、パーティー会場を艶やかに染め上げていた。

...

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