第77章 独特な美意識

平井晴美の目がぱっと輝き、そのままクリームを持って自分の席へ戻ろうとした。

だが、半歩踏み出したところで真理が立ち上がり、彼女の手からそのクリームをひったくるように取り返した。

「晴美、ほんと忘れっぽいね。借りたもの、返すの忘れてるよ」

真理は目尻をふわりと下げ、手の中のクリームを軽く振ってみせる。

平井晴美は呆然と真理を見つめ、それから空っぽになった自分の手へ視線を落とした。

「真理……どういうつもり?」

取り繕っていた愛想笑いが、顔からすっと消える。両手は宙で固まったままだ。

真理は小首をかしげる。

「何のこと?」

眉間に薄く皺を寄せ、むしろ平井晴美のほうを不思議そうに...

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