第83章 冷血非情な石橋結翔

菅野真理は、菅野彩乃が迂闊に動けないことを見越していた。

「結翔が待ってる」

そのひと言だけで、菅野彩乃の喉元に鎖を掛けられる。もし最初からそんな度胸があるなら、今さら「何ひとつ成し遂げられていない」なんて有様にはなっていないはずだ。

真理は口角をつり上げ、嘲るように笑った。勝ちを確信した目。

――賭けは、当たった。

菅野彩乃は奥歯を噛みしめ、顔いっぱいに悔しさと屈辱を滲ませる。だが、それ以上は踏み込めない。胸の奥で煮えたぎる怒りを、無理やり押し殺すしかなかった。

「……あんたたち、いつまで突っ立ってるの? 見つかって減点でも食らいたいわけ?」

吐き出せない怒りは、取り巻きへ向...

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