第89章 公開を拒む

真理は大きく息をつき、媚びた光を滲ませた瞳の奥に、ほんの少しだけ恨みが混じる。力の抜けた足で石橋結翔を蹴りつけ、鬱憤を晴らした。

石橋結翔はその足首を掴むと、温泉からすっと立ち上がる。腰に腕を回して抱き上げ、そのまま部屋の中へと運んだ。

二人は着替えを済ませ、木の引き戸を開ける。広瀬結月の傍らに並んで正座した。

卓上では、きのこ汁が白い湯気をふわりと立てている。香りが空気を満たし、鼻先をくすぐった。

温かな汁が喉を滑り落ちた瞬間、四肢の隅々までじんわりと熱が広がる。きのこは歯切れよく、つるりとした舌触り。スポンジみたいに出汁を含んでいて、噛めば口の中で旨味がぱっと弾け、頭のてっぺんま...

ログインして続きを読む