第6章

絵里視点

ソファの向かいに座り、額を押さえる悟を見つめていた。

彼の顔は真っ青になり、額には玉の汗が浮かんでいる。復讐はほぼ成し遂げられたのだから、満足すべきはずなのに。

なのに、どうして心臓を誰かに強く握りしめられているような気分になるのだろう?

「これは、ただの目眩じゃない」悟の声は弱々しくなっていたが、その瞳は鋭く、私をまっすぐに見つめていた。

私は心配そうなふりを装った。「病院に連れて行こうか?」

「その前に、話があると思う」

心臓が跳ね上がった。『何を知っているというの?ありえない、あの毒は無色透明で、彼が気づくはずがない』

「何の話?あなたは今、医者が...

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