第8章

午前三時のICUの廊下は、がらんとしていた。いるのは私と、あの冷たい椅子だけ。

もう八時間も座り続けて、足の感覚はなくなっていたけれど、動く気にはなれなかった。

ガラス窓の向こう、悟が病院のベッドに静かに横たわっているのが見えた。体には様々なチューブが繋がれ、心電図モニターが規則正しく音を立てている。

その一つ一つの電子音が、彼がまだ生きていることを知らせると同時に、私が彼を殺しかけたという事実を突きつけてくる。

「眠らないんですか?」捜査官が、コーヒーを手にこちらへ歩いてきた。

「眠れません」私の声は、紙やすりのようにざらついていた。

彼はそれ以上何も言わず、私の隣の...

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