第101章

『お爺さま……』執事がためらいがちに呼びかけた。

お爺さまは振り返るとソファに腰を下ろし、豪快に手を振る。

『やれ。――徹底的に叩け』

執事の喉仏が、ごくりと上下した。結局、逆らえるはずもない。早村謙介の背後へ回り、低い声で告げる。

『若様……失礼いたします』

覚悟を決めた執事が藤の鞭を振り上げた。びしっ、びしっ、と乾いた音が続けざまに響き、鞭が背中へ容赦なく食い込む。

古傷の上に新しい傷が重なり、やがて衣服の内側から血がじわりと滲み出した。

謙介は唇を噛み切り、血が顎を伝って膝へ落ちる。それでも、呻きひとつ漏らさない。

伊藤夕子は腹の底が煮えくり返るほど怒り、同時に胸が裂け...

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