第102章

鈴木青美は、結局のところ葉山惠也の問いに答えられなかった。

玄関の外でしばらく待っていた葉山惠也は、彼女が言葉を発する気配すらないのを悟ると、ようやく息を吐いて、小さくうなずいた。

『わかった。鈴木さん、邪魔したな』

そう言い残して、背を向けて去っていく。

鈴木青美はドアを閉め、扉板に背中を預けたまま、そっと目を閉じた。

リビングは、しんと静まり返っている。

村田さんは買い物に出ていて、お婆さんは午後の薬を飲んで客間で昼寝中。母はさっき電話を一本受け、「書斎で少し片づけることがある」と言って席を外した。

この広い部屋に残っているのは、自分ひとり。

そして、どうしても追い払えな...

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