第111章

鈴木青美は、早村謙介があんなふうに突然、自分から暴露するなんて夢にも思っていなかった。

本来なら――早村謙介が口をつぐんでさえいれば、これらの話はいつまでもごく狭い圈内で囁かれるだけで、世間にまで広がることはない。鈴木青美本人にとっても、せいぜい一度の展覧会に多少の影響が出る程度で、ほかに大きな実害などほとんどないはずだった。

商人は利で動く。白原礼子が一度騒いだところで、それだけで何もかもが変わるわけじゃない。今後も付き合う相手とは付き合うし、組む相手とは組む。

――なのに、早村謙介は自分で前に出た。

いちばん見せたくないこと、いちばん口にしたくないこと、口にすれば自分の名声すら壊...

ログインして続きを読む