第112章

鈴木青美はまつげを伏せ、指も止まった。

しばらくして、彼女は大きく息を吸い、次のページを開く。

【今日、彼が言った。お母さんが孫を欲しがってるって。私は何も言えなかった。彼は私を一度見て、「まあいい、急がなくていい」と言った。何を言えばいいのかわからない。本当は言いたかった。私たちはもうずっと……】

そこで途切れていた。行の先は空白のまま、何も書かれていない。

書きかけのその一文を見つめた瞬間、鈴木青美は目の奥がつんと痛くなった。

さらにいくつか開く。

後ろへいくほど日記は短くなり、ときには一、二行だけ。

最後のひとつを読んだところで、鈴木青美の涙が、前触れもなくぽろりと落ちた...

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