第113章

白原礼子は脇に座ったまま、その言葉を聞くなり、黙ってぽろぽろと涙をこぼし始めた。

『じゃあ、もう一度聞くぞ』

伊藤夕子の言葉を、お爺さんが遮った。

『あの子は一人で、孤児院から日雇いをしながらここまで辿り着いた。それで妹がうちに引き取られたことまで突き止めたんだろう。だったら、早村家がどんな人間か――品性まで調べられないはずがない』

お爺さんの視線が、火花を散らすように白原礼子へ突き刺さる。

『無情な家だとでも思ったのか? 俺たちを』

『一つだけだ。お前は、うちに何をしに来た? 謙介が偶然お前の存在に気づいて、そこから全部が始まったと言ったな。あれは本当に――偶然だったのか?』

...

ログインして続きを読む