第121章

葉山惠也は両手を上げ、降参のポーズを取った。

『はいはい、もう言わない、言わない』

林原稲美はそれでようやく満足したように口をつぐむ。

鈴木青美は、稲美のその義憤に燃えた顔が可笑しくてたまらず、くすくすとからかいを返した。けれど次の瞬間、頬がじわりと熱を帯び、頭の芯がふわふわと揺れる。

本当は、酒なんて触れないほうがいい体だ。それでも、断れない場面というのはある。

青美は水のグラスを置き、ぱん、と軽く頬を叩いた。

『ちょっと控室で休んでくる。お化粧、直したいし』立ち上がって稲美に言う。『こっち、先に見ててくれる?』

稲美は頷いた。

『行っておいで。長居はだめよ。あとでケーキ入...

ログインして続きを読む