第122章

「……いい。いらない」

鈴木青美はほとんど反射みたいに拒んだ。

壁に手をつき、床を押して、ひとりで立ち上がろうとする。けれど、傷めたほうの足が床に触れた瞬間――足首から電流みたいな激痛が駆け上がり、青美は「っ……」と喉の奥で呻いた。身体がぐらりと傾き、今にもまた倒れそうになる。

早村謙介が素早く腕を伸ばし、彼女を支えた。

鈴木青美はそのまま、彼の胸にぶつかるように抱きとめられる。

その一瞬、二人とも固まった。

青美は呆けたように瞬きをして、遅れて胸の奥がきゅっと痛んだ。

――痩せすぎている。

スリーピースの礼服を着ているのに、重なった布越しでも、胸元に当たる骨の硬さがわかる。...

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