第133章

彼女が言い終える前に、早村謙介は顎を上げ、残っていた薬液を一息に飲み干した。

喉仏がごくりと上下し、瓶を置く。口元を乱暴に拭って、アントルを睨み据える。

『もう飲んだ。……彼女を放せ』

鈴木青美は絶望に目を閉じた。涙が、音もなく頬を伝う。

アントルは一瞬きょとんとしたあと、急に腹を抱えるほど笑い出した。

『ほんっと、バカだね』

アントルは目尻の涙を指でぬぐう。

『飲めって言われたら飲むの? 騙してるかもって、思わなかった?』

早村謙介の身体がぐらりと揺れ、顔色がみるみる変わっていく。

抑えきれない熱が、身体の奥底から潮のように押し寄せた。

目の縁が赤く染まり、呼吸が荒くな...

ログインして続きを読む