第136章

「……あんた、なんであの子を助けに行ったのよ」

伊藤夕子は胸が締めつけられるような顔で、息子に縋るように言った。

「向こうは『離婚する』の一言でさっさと出ていったくせに。あんたがあんなに熱出して、意識も朦朧としてた時……病院に一度だけ顔を出してくれって、どれだけ頼んでも来なかったじゃない」

声が震える。

「それなのに今度は、命まで投げ出して助けに行く? 分かってるの? あんた、あと少しで帰ってこられなかったのよ!」

早村謙介は眉を寄せ、顔を背けた。

「母さん……もういい。やめてくれ」

「やめられるわけないでしょ!」

伊藤夕子の目から、ぽろぽろと涙が落ちる。

「私はあんたの母...

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