第24章

早村謙介の動きが、ぴたりと止まった。

顔色がすっと翳る。目の奥にわずかな不快が走ったものの、それもすぐに消えた。

「昔の話は、もうしたくない」

視線を逸らし、声だけを少し和らげる。

「青美。俺の条件は簡単だ。この間、お前は名目上もプロジェクトに関わる必要はない。ただ、自分の好きなことをしていればいい」

「じゃあ、誰の名義にするの? 早村瑞子?」

早村謙介は黙り込んだ。

――なるほどね。

鈴木青美はその顔を見つめ、ふいにたまらなく可笑しくなった。

自分は彼のために徹夜で企画をまとめ、取引先との席では酒を飲み続け、早村の半分を支えてきた。

早村謙介が人の恨みを買い、相手に目を...

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