第38章

早村謙介は勢いよく顔を上げた。その瞳に、ひやりとした光が走る。

「……ダメです」

「何だと?」

祖父の表情が、瞬く間に沈む。

「早村謙介。もう一度言ってみろ」

早村謙介は祖父の視線を真正面から受け止め、言葉を一つずつ噛み締めるように告げた。

「ダメです、お爺さん。瑞子を追い出すなんて、俺は絶対に認めません」

「無礼者が!」

祖父は怒りに任せて机を叩き、どん、と立ち上がった。

「この家で、いつからお前が采配を振るうようになった!」

早村謙介も背筋を伸ばし、顎を上げて一歩も退かない。

「お爺さん、相談してるんじゃありません。伝えてるだけです。瑞子がいなければ、今の俺はない。...

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