第63章

彼は鈴木青美へ向き直り、無理やり口角を引き上げた。

『青美。人も連れてきたし、俺はこれで失礼するよ。ギャラリーの件、何かあればいつでも連絡して。先に行く』

そう言い残すと、彼は立ち上がり、大股で部屋を出ていった。

『村田、私が送るわ』鈴木青美が後を追おうとする。

だが早村謙介が、そっと彼女を支えた。

『青美、体調がよくないだろ。俺が村田さんを送ってくる』

鈴木青美は唇をきゅっと結び、結局何も言わなかった。黙って椅子に戻る。それが答えだった。

早村謙介はほどなく戻ってくると、彼女のそばへ行き、持ってきた保温容器のふたを開けた。

『山芋とスペアリブのスープ。身体を温めるやつだ。熱...

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