第73章

その後、鈴木青美は早村グループのデザイン部の面接を受けに行った。

道が渋滞していて、遅刻寸前。早村グループのビルに駆け込むと、専用エレベーターかどうかも確かめないまま、勢いで中へ飛び込んだ。

――その瞬間。

入口で足がもつれて、ぐらりと体が傾く。

『あっ!』

鈴木青美が思わず声を上げた。

『危ない』

床に叩きつけられる、そう覚悟した刹那。横から伸びてきた大きな手が、彼女の体を確かに受け止めた。

落ち着いた、力のある手。

青美は息を呑んだまま顔を上げ――深く静かな眼差しと、真正面からぶつかった。

……画展で会った、あの男。

『あ、ありがとうございます……』

頬が熱くなっ...

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