第77章

鈴木青美は、ようやく胸の奥までほどけた気がした。

『……ありがとう、お母さん』

『ばかね。お母さんにお礼なんて言わなくていいのよ』

伊藤靜美は痛ましげに娘の頬を撫で、そのまま今度は別の心配を始める。

『お腹すいてない? 三日も意識がなかったんだから、点滴だけじゃ足りないでしょ。お粥、ずっと温めてあるの。少し飲む? 枕は苦しくない? もう一つ足す? お布団、薄くない? この部屋、冷房の温度低すぎない?……』

忙しなく動く背中を見ているだけで、青美の心はとろけて水になりそうだった。

小さく呼ぶ。

『……お母さん』

『ん? どうしたの青美。何かいる?』

伊藤靜美はすぐに手を止め、...

ログインして続きを読む