第87章

鈴木青美はそれを聞いても、淡く笑うだけで、言葉を返さなかった。

早村家で過ごしたあれこれも、今となっては遠い昔の出来事みたいだ。誰が正しくて誰が間違っていたのか――そんな採点を、もうしたくない。家族の前で、あの屈辱の記憶を掘り返す気にもなれなかった。

「お婆さん……私と早村謙介は、たぶん最初から夫婦になる縁じゃなかったんだと思うの。無理に一緒にいたら、どっちにとっても苦しいだけ。離れたほうが……きっと、お互いのため」

最後は、そっと息を落とすように言った。

お婆さんは何度も頷き、青美の手をぎゅっと握りしめると、手の甲をやさしく叩いた。

「青美の言う通りだよ! それがわかってくれたな...

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