第89章

早村謙介の意識がようやく浮上したとき、まず襲ってきたのは痛みだった。どこもかしこも痛い。喉はからからで、煙でも噴きそうなほど乾いている。

だが――そんなものは、次の瞬間には全部、頭の片隅へ追いやられた。

青美……!

謙介は目を見開き、腕に力を込めて起き上がろうとする。

「早村様!」

ベッド脇に詰めていた周防誠がぎょっとして、慌てて肩を押さえた。

「動かないでください! 三日も昏睡してたんです。高熱がひどすぎて、身体がまだ戻ってません!」

謙介はなおも身をよじり、周防の手を振り払おうとする。

「ど……け……」

口を開いたはずなのに、出てきたのは掠れた、聞き取れない音だけだった...

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