第90章

あっという間に、半月が過ぎた。

鈴木青美の身体は中村家の人たちの手厚い世話のおかげで回復が早かった。青白くこけていた頬には少しずつ血色が戻り、目の奥に居座っていた倦みも薄れていく。見違えるほど、顔つきが生き生きとしてきた。

今の彼女の毎日は、祖母や母と話しながら散歩をしたり、合間にオンラインで跨廊の仕事を遠隔処理したりする程度だ。穏やかで、肩の力が抜ける日々。

早村謙介との結婚生活のことなど、まるで遠い昔――前世紀の出来事みたいに感じられるほどだった。

林原稲美はギャラリーの改装が完全に終わるや否や、すぐにS市まで鈴木青美に会いに来た。

空港で迎えた青美を、稲美は遠くから見つけるな...

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