第92章

「健康に生きる?」

早村瑞子がふっと鼻で笑った。自嘲の苦さが、顔にいっそう濃く滲む。

彼女は目を伏せ、手の中のマイクを見つめたまま長い沈黙を落とし、やがて掠れた声で言った。

「鈴木青美。あなたに、ひとつ話をするわ」

「……実は、私には姉がいるの」

鈴木青美はわずかに目を見開いた。

姉――そんな話、瑞子から一度も聞いたことがない。

「私の本当の姓は白原。姉は白原礼子。双子なの」

「姉は生まれつき丈夫でね。私は生まれた時から痩せこけた小さな塊みたいで、先天性の心臓病まで抱えてた」

「母は昔から姉を憎んでた。お腹の中で私の栄養を奪ったって思い込んでね。だから姉には見向きもしない。...

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