第6章

助手の佐藤は一瞬ためらい、それから恐る恐るといった口調で言った。

「南条さん、椿さんの件ですが……」

「どうした?」

南条硯介は意外にも辛抱強い様子だった。

佐藤補佐は勇気を振り絞るように、深く息を吸った。

「南条さん、数日前、椿さんは既にお亡くなりになりました。あのフライトが……墜落したのです」

私は南条硯介の手が微かに震え、顔色が瞬時に蒼白になるのを見た。

彼の目は前方を固く見据え、まるで何か恐ろしい光景を見ているかのようだった。

「何だと?」

彼の声は掠れていた。

「申し訳ありません、南条さん」

佐藤補佐の声は沈んでいた。

「お邪魔したくはなかったの...

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