第4章

渋木明宏視点

 その瞬間、脳への血流が途絶えたかのような感覚に襲われた。平衡感覚を失い、激しく地面に打ち付けられる。

 周囲の音が酷く耳障りだ。誰かが俺の名を叫んでいるが、膜を通したように響くだけで、言葉として入ってこない。ただ、滑稽だと思った。

 冴羽薫子が、いなくなる?

 ありえない。

 理性の塊のようなあの女が、自ら死を選ぶなどという愚行に走るはずがない。

 俺は無理やり体を起こすと、支えようとする手を乱暴に振り払い、よろめきながら屋敷を飛び出した。体裁など構っていられない。半ば走るようにガレージへ向かう。

 警備兵がどう見ようと、部下たちが怯えた目を向けようと、知ったこ...

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