第7章

藤堂真一の拳が、黒川瑞樹の顔面に重々しく叩きつけられた。その威力に、瑞樹の体は数歩よろめき後ずさる。

「てめえ、どの面下げて彼女に会いに来たんだ?」

藤堂真一の瞳に抑えきれない怒りが燃え盛る。白衣に付着した血痕が、病院の青白い照明の下でひどく目に刺さった。

黒川瑞樹は身なりが乱れ、スーツの上着の襟は引きちぎられんばかりによれていたが、その瞳には焦りだけが浮かんでいた。

「晩香はどこだ! 教えろ!」

藤堂真一はすっと体を起こし、深く息を吸うと、その眼差しは氷のように冷たく、突き放すようなものに変わった。

「彼女はもういない。死んだんだ」

先ほど亡くなったばかりの、あの若...

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