第6章

隆志視点

まだアラームも鳴っていないのに、俺はすっかり目が覚めて、天井をじっと見つめていた。胸の高鳴りを抑えきれずにいたのだ。『今日が、その日だ』。俺たちの、初めての結婚記念日。

由香里を起こさないよう、そっとベッドから抜け出した。

『まったく、寝ていても綺麗なやつだ』。だが、今日は彼女のための日じゃない。今日は、俺と美咲の日だ。

バスルームへと向かう。頭の中では、すでに今夜の段取りを再確認していた。会場、花、招待客のリスト、そして美咲のためだけに用意した特別なサプライズ。すべてが完璧でなければならない。

「隆志?」背後から、由香里の眠そうな声がした。

振り返ると、...

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