第10章
富岡正介はまだ自分を納得させようとしていた。湊を慰めるためか、それとも自分自身の良心の呵責を誤魔化すためか。
彼は湊の腕を掴んだ。
「湊、落ち着け。そのボランティアは同姓同名の別人かもしれない」
彼はまた私の愛理に対する悪行を並べ立て始めた。
「あいつが昔、愛理さんに何をしたか思い出せよ。階段から突き落としたり、物を奪ったり、家の金を持ち逃げしたり……そんな人間に、こんないい心があるわけないだろ?」
私はその言葉を聞きながら、ただただ滑稽に感じていた。
「いつ私が金を持ち逃げしたって言うの?」
私は富岡に向かって叫んだ。
「それに私は正式に申請したボランティアよ! ...
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