第11章
「救助だ! 急げ、救助を!」
湊は狂ったように瓦礫の山へ突っ込み、手当たり次第に石を退かし始めた。
普段は誰よりも冷静な指揮官である彼が、今はまるで理性を失った狂人と化していた。
鋭利な木片が落下し、彼の頭を掠めそうになる。富岡正介が咄嗟に腕を引かなければ、確実に怪我を負っていただろう。
「湊! 落ち着け! 余震が来るぞ!」
富岡が大声で警告する。
「そんなやり方じゃ彼女は救えない、全員道連れにする気か!」
湊は深く息を吸い込み、無理やり己を鎮めようとする。だが、震える指先が彼の動揺を雄弁に物語っていた。
ようやく、隊員たちが慎重に、上にのしかかっていた最後の巨石...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
縮小
拡大
