第8章
河川公園の歓声はまだ続いていた。
突然、富岡正介の無線機が鳴り響いた。本部からの緊急呼び出しチャンネルだ。
『白狼へ応答願う! 白狼へ! こちら本部!』
切迫した、怒りに満ちた声だった。
『小林より報告、神居村の状況は極めて深刻! 旧林業所が完全倒壊、要救助者のバイタル微弱! 小林は経験不足のため単独救助不可能! 直ちに支援を求む! 繰り返す、直ちに支援を求む!』
現場の歓声がピタリと止んだ。
死のような静寂。
続いて、無線機から本部の幹部の怒号が飛んできた。
『何をやっているんだ! 富岡正介! なぜ主力をすべて連れ出した? 救助が遅れたら誰が責任を取るんだ!』
...
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