第7章

イザベラ視点

 この街に移り住んで、もう四ヶ月が経つ。

 ヴィンセントの母親があそこまで徹底してやるとは思わなかった。あのホテルは本当に爆破されたのだ。ニュースではガス漏れ事故と報じられ、生存者はいないとされた。彼女は私の「死」を完璧に演出してくれた。それは彼女なりの、私への最後の慈悲だったのかもしれない。

 今の私の名は、エレナ・ロス。あの街から一千キロ以上離れた海沿いの小さな町に住んでいる。彼女からの手切れ金を元手にオフィスを借り、小さな投資コンサルティング会社を立ち上げた。最初は私一人だったが、今では数十人の従業員を抱えるまでになった。決して大儲けとは言えないが、それでも少しずつ...

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