第8章

ヴィンセント視点

 医師は、丸二日意識を失っていたと告げた。

 目覚めた時、病室には彼しかいなかった。窓外からは刺すような日差しが降り注いでいる。白い天井を見上げていると、遥か昔、別の病院で見た光景が脳裏をよぎった。ベッドに横たわり、腹部に包帯を巻きながら、蒼白な顔で「大丈夫」と笑っていた彼女の姿。

 あの時、一生をかけて彼女を守ると誓ったのだ。

 だが今、耳元で響くのは彼女の声だけ。「あんたを庇って弾を受けたあの女は、弾が体を貫いた瞬間に死んだのよ」

 彼は天井を睨みつけ、唐突にあることに気づいた。彼女は、もう二度と戻らない。

 帰ったのは深夜だった。ヴィンセントは車内から別荘...

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