第9章

イザベラ視点

 二ヶ月後の、ある水曜日の午後。私が第三四半期の財務諸表に目を通していると、秘書がノックをして入ってきた。

「社長、市内のホテルで爆発がありました。ニュースでは死者二名とのことです」

 私は顔も上げずに尋ねる。

「どこのホテル?」

「例のファミリーのボスが滞在していたところです。警察はガス漏れだと言っています」

 キーボードを叩く指が、一瞬だけ止まった。

 それからニュースサイトを開く。深夜のホテル爆発、二人即死、警察の初動捜査ではガス漏れによる事故と断定。

 記事には、彼の名前があった。そして、彼女の名前も。

 画面を見つめていると、不意に意识が遠い過去へと...

ログインして続きを読む