第8章

「まずは図書館からだ」

放課後、学校を出るなり陽翔が言った。頭にはまだ包帯が巻かれていたが、その瞳はここ数週間で見たことがないほど鋭かった。

私は頷いた。胃がねじれるような気持ちがする。もうただ座って待っているだけじゃない――私たちは、実際に何かをしようとしている。なのに、そのことがかえって私を不安にさせた。

図書館はかなり空いていて、いつものようにページをめくる音だけが静かに響いていた。陽翔は物理学の専門書の山を前にして私の向かいに座り、私は家からこっそり持ち出した父の仕事用ファイルに目を通していた。

「真耶、これ見てみろ」陽翔が一つの記事を指で叩いた。「タイムループは...

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