第60章カリックス

くそ、アマは速い。脚を痛めているっていうのに、それでも速い。モリーにとって幸運だったのは、俺のほうがもっと速かったことだ。俺はアマの腰に腕を回し、ぐいと引き寄せた。

「放しなさい!」アマが命じる。

ズヴィアドは、ほとんど従いかけた。ベレンやアマと同じくらい、彼も血を求めている。

「なぜだ?」俺が命じる。部屋の全員を呑み込むように、俺の命令が場を支配した。

「わ……わたし……」モリーが、支配に抗いながらすすり泣き始める。

「全員、出ろ!」ジェームズがモリーを睨みつけたまま命じた。これ以上の見世物にしないために、部屋を空にするだけの分別は残っているらしい。

群れは素早く会議ホールから退...

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