第76章アマリー

何から逃げているのかはわからない。だが、わかっていることがひとつある。あれに捕まったら、終わりだということだ。「ベレン!」走りながら叫ぶ。彼女の気配を感じることも、言葉を交わすこともできない。けれど、そこにいるはずだ。絶対に、いなくてはならない。そう確信している。

枝がしなって顔を叩いた。ひりりとした痛みが走り、目に涙がにじむ。瞬きをして涙を追い払い、走り続ける。背後を振り返り、追ってくるものの姿を捜した。何も見えない。なのに、そこにいる――その気配だけは、肌にまとわりついて離れなかった。

さっきまで森の中にいたはずなのに、次の瞬間、私は長い廊下を駆け下りていた。壁一面に、たったいまの森を...

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