第5章
サイラスは小さな木箱をにらみつけた。胸の奥を噛みちぎるように広がる、唐突で説明のつかない空洞感を力づくで押し殺し、冷たく嘲るように鼻で笑う。
「死んだ? 何だ、今度はお前までアリアのくだらない幻に付き合ってるってのか?」
「アリアにそう言ってこい。俺の同情を買うために大芝居を打つくらいなら、エララ――あいつが殺しかけた女の前にひれ伏して、許しを乞うべきだとな!」
看護師は絶望そのものの顔で首を振り、青白い頬を涙で濡らしながら訴えた。
「違います、サイラス様……お願いです、現実を受け入れてください! アリア様は……本当に、もう息をしていないんです!」
「黙れ!」サイラスは鞭のよう...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
