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リナ視点

「まだ着かないの?」

ここ一時間で十五回目になるであろう問いかけを口にする。私はわざと子供っぽく駄々をこねるような響きを声に滲ませた。

レオは曲がりくねった山道から視線を外そうともしない。「あと五分だ。さっき聞いた時と同じだよ」

「足がつりそう」私は続けざまに言い、大げさに座席の上で身じろぎしてみせた。「それに血行も止まりかけてる気がする。このトラック、まともな人間の体格に合わせて設計されてないんじゃないの」

「君は身長百六十七センチそこそこだろう」レオは隠しきれない笑いを浮かべて指摘する。「このトラックで血行が悪くなるとしたら、それは俺のほうだ」

馬鹿げたことを...

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