第九十二章

レオ視点

東の境界の光景は、ノアが説明していたよりもさらに酷かった。犯行現場に到着すると、血の鉄臭さが空気に満ち満ちており、吐き気を催させた。被害者――サラ・マシューズは、小さな開けた場所の中央に横たわっていた。その体は、前の殺人事件と同じく、儀式めいた正確さで配置されている。

だが今回は、何かが違った。俺の血の気を引かせるような、新たな何かが。

彼女の体の傍らには木箱が置かれ、その隙間から黒い染みが滲み出している。中には、見なくてもわかる、彼女の心臓が入っているのだろう。犯人はエスカレートし、その残虐性をより芝居がかったものにしていた。

『あのイカレ野郎、楽しんでやがる』と、シャドウが俺の...

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