第150話

リリス視点

「本当にいいの?」ブライヤーは囁き、ほつれた髪を私の耳の後ろにかけた。

その何気ない仕草に、背筋を電流が走ったような感覚が襲う。それに、くそっ、彼女は相変わらずうっとりするようないい匂いがする。その残り香は、どうしても手放せない記憶のように私にまとわりついた。けれど、体が彼女に反応している一方で、私は感じていた――グラウンドの向こうから私を灼き尽くすような二対の視線を。その熱は肌で感じるほど強烈で、彼らの苛立ちは物理的な圧力さえ伴っているようだった。

「うん、そうね……あんたのアドバイス通りにするわ」私は気まずそうに身じろぎし、手持ち無沙汰に何かを探すふりをした。

「よし、...

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