第151話

ケイデンの視点

彼女はこれ以上、息を呑むほど美しくなれるというのか? これほどまでに人を陶酔させる存在になれるというのか? 弟が彼女にキスをする光景を見れば、本来なら嫉妬に駆られ、自分のものを守ろうとする本能が刺激されるはずだ。だが、代わりに俺の中で点火したのは、もっと深く、もっと暗い何かだった。体を焼き尽くすような熱だ。

『彼女が幸せを感じている。つまり、彼女は俺たちのものだということだ』

俺の中の狼が、冷静かつ断固としてそう諭した。

これまで、他のどの女も俺にとってはどうでもよかった。ケイレブが誰を追いかけようと、俺は気にも留めなかっただろう。だが、リリーはただの女じゃない。今まで...

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