第154話

リリス視点

「うっ……なんでこんなに暑いの? 誰か暖房の設定温度、上げすぎじゃない?」

私は寝ぼけ眼をこすりながら、うめくように呟いた。

目を開けて最初に飛び込んできたのは、肌だった。日焼けして引き締まり、うっすらと胸毛のラインが続く裸の肌……。

視線を落とすと、私の手がその胸板の上に堂々と乗っかっているのが見え、思わず顔をしかめた。

「女性記者、自らのスキャンダルの渦中で目覚める――詳細は11時のニュースで」

皮肉交じりにそう独りごちて、少し身じろぎすると、背中に回されていた腕がするりと落ちた。彼らの穏やかな寝息は、何事もなく続いている。

最悪。一体どうやってここから抜け出せばいいの...

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