第212話

リアム視点

「彼女を失うわけにはいかない!」

毅然とした威厳ある声を出すつもりだったが、俺の声は裏返り、ただの掠れた囁きになってしまった。ローガンが顔を上げ、俺と視線を合わせる。その表情は絶望に打ち砕かれていた。頬は涙で濡れ、瞳はガラスのように虚ろだ。兄――俺にとっての揺るぎない支柱――が崩れ落ちる姿を目の当たりにし、胸に鋭い痛みが走った。

「すまない、リアム。これは俺のせいだ」

彼は枯れた声で絞り出し、罪悪感を拭い去ろうとするかのように両手で顔を覆った。

「何が起きたにせよ、彼女はきっと大丈夫だ。そうでなきゃいけない。目が覚めたら、彼女がお前を拒絶しないよう、俺ができることは何でも...

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