第228話

「過ぎたことだとはいえ、君に出会う前に君を失っていたかもしれないと考えるだけで、耐え難い苦痛なんだ。あれは苦し紛れの言葉だったんだよ、リア。本心なんかじゃない」

「わかってる」私の声は平板で、感情が抜け落ちていた。「彼が口にする前から、その目を見てわかっていたわ。だからといって、痛みが和らぐわけじゃない」

私は彼から顔を背けた。その海の泡を思わせる緑色の瞳に浮かぶ、懇願の色に耐えられなかったからだ。けれど、彼は諦めようとしなかった。それどころか、私が座るバースツールの後ろに回り込み、その胸に私を引き寄せた。彼の鼻先が私の首筋を上下になぞり、背筋に震えが走る。

「彼と話してくれないか? 謝...

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