第240話

ローガン視点

リアムは深く息を吐き出し、去っていく彼女を見送った。俺たち二人の心を奪ったその少女を。彼の気持ちは痛いほどわかる。俺も同じだからだ。昨夜の出来事を経て、彼女のそばにいたいという衝動は強まるばかりだった。それでも、群れのために献身的に働く彼女の姿を見て、俺たちの胸は誇らしさで満たされていた。その献身ぶりは、彼女の強さと心の美しさの証だ。

乱れた茶色の髪に手をやり、俺は体内で渦巻く混乱を鎮めようとした。今すぐ駆け戻り、ネアンデルタール人のように彼女を肩に担ぎ上げ、ベッドへ連れ込みたいという衝動に駆られる。だが、それはあくまで狼としての本能だ。俺の中の人間としての部分――理性的な部...

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