第243話

絆の最後の欠片が、あるべき場所に収まるその時のために。

彼女が姿を現した瞬間、目に飛び込んできたその光景に、俺は言葉を失った。どんな覚悟も役に立たなかっただろう。彼女の狼姿は、息を呑むほど美しかった。純白だ。陽光を浴びて煌めくその毛並みは、磨き上げられた新雪のように、すべての光をその身に集めて輝いている。狼の毛色は人間の時の髪色を反映するのが常だ。だから俺は、彼女も濃厚な黄金色の毛並みだろうと思い込んでいた。まさか、これほどとは。

そして、あの瞳――鮮烈なエレクトリックブルーの瞳は、狼の姿になることで、あり得ないほど鮮やかに輝きを増していた。そこに宿る知性も、感情も、何ひとつ変わっていない...

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